2016年12月7日水曜日

2016年板鰓類研究会シンポジウムレポートその1(アカシュモクザメの飼育)

 2016年板鰓類研究会シンポジウムレポートその1

 泳げハンマー! 苦節40年の道のりと飽くなきサメ飼育魂


 レポートコラム、今回は図らずも発表者の方から前回(注:2012年シンポレポート)のご感想をいただく機会に恵まれ、ありがたいやら申し訳ないやらです。
 普段は『中の人』と会ってがっかりされるのを恐れて控えめな交流で細々やっております。科学的知見もサメ知識も浅いオッサンです。
 140人超も参加者がおられて、発表へのレスポンスがないわけはないので、私のレポートする意味もずいぶん薄れてきたように思えます。
 すでにこのサイトは『オワコン』だと。

 なので、あまり期待されませぬようにお願いいたします。
 さて頭から順に…と行きたいところですが、今回はランダムにというかやりやすい演題から参ります。
 というわけで、シンポジウム午後イチの演目、第二会場ともなりました「東京都葛西臨海水族園」の発表から参りましょう!


葛西臨海水族園での板鰓類飼育展示の試み 東京都葛西臨海水族園

 葛西臨海水族園は、東京都江戸川区の荒川河口の埋め立て地に開発された1989年設立の海浜公園内の水族館です。
 バブル期のウォーターフロント開発が各地でやにわに興りましたが、その最たる例です。
 私も何度も訪れた同園ですが、敷地の広さと開放感あふれる園内の様子に、いつも圧倒されます。

ウォーターフロント再開発の象徴、水族園エントランス

 サメについては、エントランスのエスカレーターを降りてすぐの「大洋の航海者」という200tの水槽コーナーでツマグロやクロガネウシバナトビエイとともにアカシュモクザメの群泳を見ることができます。正式に数えたことはないですが少なくとも5個体以上としても、国内指折りの多さですね。 



 こちらで見られる複数個体の飼育展示は、今でこそ珍しくはなくなりましたが、やはり飼育の難しい種で水族館のサメレベルを計るにはうってつけの種類です。(ここに以前はスミツキザメというサメもいました)

 こちらのサメ飼育の原点ともいうべき、悲願であったアカシュモクザメの飼育メソッド確立にまつわるお話から、さらに飼育の難しい種類のサメを展示することへの挑戦の履歴も合わせて発表してくださいました。

 葛西臨海水族園は東京都が運営する(現在は指定管理者制度による)公園施設で、前身は恩賜上野動物園内の水族館であったそうです。動物園附設の水族館から独立する形でこの水族館構想が生まれたとのお話です。

 ※超余談ですが20年近く前、上野時代のアカシュモクザメを収めた写真が新聞に載せられた時に、さかさまであったためそれに憤慨した私が新聞社へ抗議の手紙を書いたことがあります。 (←困ったサメファンですね)
 担当部署の方が訂正とお詫びの返事をくださり、以後は海遊館飼育の立派な写真が使われるようになりました。しょうもない話ですみません。 
アカシュモクザメのいる大洋の航海者水槽(小)はいつも人気

 さてサメについても、このアカシュモクザメは40年前の当時からの飼育挑戦種で、この頃の全国的な飼育日数の平均が27日だったそうです。
 ひと月に満たないということはやはり飼育の上で何らかの問題を抱えているということになるでしょう。

 葛西臨海水族園では、この問題への試行錯誤をいくつも経てきた歴史があるのです。

 まず、アカシュモクザメを取得する環境から。
 飼育を始めた往時では、アカシュモクザメは、主に小笠原諸島の父島でコンスタントに得られたそうです。(恐らく縦はえ縄漁でしょうか)
 しかもその年生まれ(当才魚)なので、40センチという比較的サイズの小さいものだそうです。
 魚体の損傷もほぼなくかなりいいコンディションであるでしょう。
 さて捕まえたサメ、同じ東京都とはいえかなり離れた場所から水族館まで運ばねばなりません。

 まず運ぶための道具、輸送用の水槽が必要ですね。船で運ぶとして生け簀にドボンと漬けた場合、水質を維持しながらサメを安定させた状態で運ぶことは難しいでしょう。
 酸素が足りないと窒息、汚染が進むと病気や生理機能の低下、さらに呼吸のための遊泳できる広さも必要です。
 運搬の都合を考え、船舶の生け簀でなく、直接水族園へ運べる移動可能な水槽であることも必須です。

 そこで6tの円形型水槽を作り運んだのですが、アカシュモクザメは水質を維持し、運んだにもかかわらずかなり衰弱していた様子。

1m前後ながら、力強い泳ぎを見せるアカシュモクザメ


 6tの水槽を運ぶ海路はかなりの時化で(太平洋のど真ん中)、波にもまれるたびに水槽内の水も揺れ、アカシュモクザメが船酔いと壁への衝突を繰り返していたことが分かりました。シュモクザメ類は特に、頭部に感覚器官が詰まっており、目や鼻先といった生きる上で欠かせない部位もかなり突出しています。これらがぶつかり続けるとどうなるか…。急所をやられるようなものですね。

 揺れと衝突。これはタンク内の空気を確保するために開けていた隙間によるものでした。
 そのため揺れをもろに受けていたのです。上野時代の限界はここまでだったそう。

 なので、空気の層をなくし、水槽内を水で満たすことでゆれそのものを解消することに至りました。今では九州産を陸路で運ぶ方法をとられているとのこと。
 輸送の問題はひとまず解決。

 さて無事に運べたら、今度は水族園の用意する環境に馴れてもらわねばなりません。

 頭で舵を取るシュモクザメ。狭い水槽ではだめですね。200tの水槽は、子どものシュモクザメにとってはまずまずの大きさ。
 しかし、水の流れに沿う力、背く力この強さが強すぎたり弱すぎたりしてもいけません。
 流れが速いと泳ぎ疲れたりし、方向を制御したりすることが難しくなります。かといって流れが弱いと今度は、呼吸のための遊泳で常に泳ぎ続けることの負担にもなるでしょう。
 つまり泳ぎ疲れない制御しやすい流れをある程度の速さに保たねばならないということになります。
 この点をいくつも試験を繰り返し、シュモクザメにとってより過ごしやすい環境を探り当てることに成功したそうです。さらに照明についても、刺激しすぎないよう角度や強さを調整することで、シュモクザメのストレスを減らすことにも成功しました。
 文面ではさらっと書いてしまう内容ですが、恐らく多くの骸を見送る中で、日々試行錯誤を繰り返し人間の側がサメにすり寄ってご機嫌伺いをすることで、よりよい環境を見出せたことに他なりません。講演中、アカシュモクザメでは特に餌付けについては触れられてなかったのでその点は大きな苦労は少なかったのでしょうか。

 ○○したから大丈夫だという限定的な飼育でなく、どうすればアカシュモクザメが過ごしやすい環境を提供できるのか、問題を常に解決しながら進もうとする確実性の積み重ねの上に、今水族園で縦横無尽に泳ぎ回る元気なアカシュモクザメの姿が見られるのです。

 今では大阪海遊館、名古屋港水族館、アクアワールド大洗、マリンワールド海の中道、須磨海浜水族園、江ノ島水族館といった各地で、私が知るだけでも安定的に飼育できている園館がいくつも見られます。

 なので今は当たり前に見られるサメであっても、その飼育方法は犠牲と試行錯誤の連続を経て獲得しうるのだと改めて理解できました。

 飼育の現場は「生き物を生かす」という、最大の結果を残すことが問われます。
 我々観客は、ほとんどこの結果のみしか見ることができません。
 なので、短絡的な見方をしてしまいがちですが、目の前にいる生き物は例外なく人の手によってもたらされた奇跡の瞬間の延長線上にあるのです。
 そのルーツをたどるような発表は、「わがままな観覧者上等!」の啖呵のようでもありました。

 しかし、飼育は何年出来たから成功、というもではなく引き合いに出しますと、海遊館の西田館長曰く、「繁殖ができて、初めて認められたような気がする」と貪欲です。
 私もアカシュモクザメの成熟個体同士が水槽内で繁殖し、継代飼育できるようになればよいなぁと思う次第です。
 果たしてそんな日は来るのでしょうか。葛西臨海水族園での取り組みを見ていますと案外絵空事のような気がしないのです。

 他にも葛西臨海水族園は、外洋性のサメ類(ヨシキリザメ、イタチザメ、マオナガ)、深海ザメ(ラブカ、ミツクリザメ)の飼育の試みについても取り組んでおられます。もって1週間というさらに飼育の難しいこれらの種ですが、日数の記録を着実に伸ばしつつあるとのことで期待せざるを得ません。
 特に深海ザメは、深海100mの水圧を再現する圧力容器や圧力水槽といったツールでの試みがされているそうです。

 これらのサメは搬入のたびにニュースになり、それ目当ての来館者もあるでしょうから、「需要」の上に成り立つ展示なのです

 私はこの辺の子細を見分けたくていろいろ情報に触れますが、ただ気紛れな需要を満たすための展示でなく、一本筋の通った取り組みであることもまた知らせて欲しいものだと思いました。
 「今回はここがだめだったので次はこうします」、というその過程であるならば、珍しいから入れただけという姿勢と違ってはるかに意を汲み取れます。
 某園館はそういった苦情の多さで、貴種の飼育挑戦に及び腰になられたりもしたと聞きます。
 真摯に取り組む姿が見えるならばこういった心無い声もトーンダウンするでしょうし、支持する声も高まることでしょう。

 私はだから生き死にの問題は仕方ない、ただ次があるならそのために、試行錯誤の途上ならそれも知りたいのです。今回は、そういった一サメファン興味に応えていただけた発表でした。

 いつか訪れる奇跡の瞬間。
 水槽内で元気に泳ぎ回るサメの姿、それを望むサメファンがいないはずありません。

 次回は未定ですが、ヨシキリの飼育についての発表が濃厚です。

 

2016年12月4日日曜日

2016年日本板鰓類研究会シンポジウム参加報告

2016年 日本板鰓類研究会シンポジウム

於:東京都葛西臨海公園内ホテルシーサイド江戸川(東京都江戸川区)

 主催:日本板鰓類研究会 
 共催:東京都葛西臨海水族園、長崎大学水産学部、東北大学三陸水産研究センター

 2016年12月3日、東京は葛西臨海公園内のホテルを会場とし、サメ・エイに関するHOTな研究テーマを引っ提げて研究者が集い、サメへの興味関心を抱くあらゆる分野の人々が集結した

「日本板鰓類研究会シンポジウム」。

会場となった臨海公園内ホテルシーサイド江戸川

 今回は140名の参加者との主催者発表で、ホテル内のセミナールームという広めの会場ながら、密集陣形での聴講と相成りました。これまでに比べても濃厚なシンポジウムであったと余韻に浸っています。(当方3回の参加ながら…)

 まずは、本シンポジウムの開催に当たってご尽力された皆様、長崎大学の山口先生や三陸水産研究センターの後藤先生、研究会スタッフの方々、会場となったホテルスタッフの皆さん、シンポジウム後の会場となった葛西臨海水族園スタッフの皆さんに一参加者として感謝をいたしたいと思います。
 温かい「おもてなし」本当にありがとうございました。

 またHaieの「中の人」と個人的に交流をお持ちいただいた皆様、
 (お誘いいただいた豊橋市自然博物館Sさん、シャークジャーナリスト沼口麻子さん、東京海洋大学のKさん、長崎大学研究センターのNさん、日本大学のT先生、茨城ミュージアムパークのTさん、静岡県エラスモブランチのMさん、北海道大学のFさん、SNSサメ仲間Nさん)
 ご歓談の機会をいただき、とても楽しかったです。またお会いできればよいですね。


右上よりサメキュートバッグ(米産)、シンポジウム概要(ガンギエイ)、Haieサメリスト、右下よりサメ閻魔帳(聞き書き帳)、台湾研究者謹呈の記念ポストカード、ネコザメクリヤファイル(葛西水族園謹製)、沼口さん主催のサメクリスマスイベントチラシ(出来立て!)

 さてシンポジウムは、サメ・エイに関わる研究22題のボリュームで朝9:20から始まり、16:30頃まで3回の休憩をはさんでのタイトなスケジュールながら、参加者の方々皆さん長丁場を集中して聴き入られたほど内容の濃いものだったように思います。質疑も出来る限りの時間でいくつもあり、興味の度合いがどの回もうかがえました。ポスター発表や懇親会でのライトニングトーク(研究プレゼン)も盛況でした。(最終20:00、皆さんお疲れ様でした)

 もちろん私Haie(非研究者)の理解の及ばぬ部分も多々ありましたが、サメの研究が進みその謎が明らかになりつつあること知るのはとてもエキサイティングで時間がたつのがあっという間でした。(京都から4時起き朝駆けしても…)
  
日本の心「Fujiyama」:朝イチの新幹線より

 分類学、バイオロギング、水産、生理学、医学、飼育研究、遺伝子などなど…発せられる言葉一つ一つからサメ・エイに真摯に向かわられる情熱が伝わりました。

 ざっと紹介いたしますと、サメの分類(増えたり減ったり忙しい、当リストにないサメも多い!やばい!)、サメの身体機能の解析(心臓の機構、熱交換システム、生殖能力と特性…サメは身体も特別な存在!)、生態系の中の地位とヒトとの関わり(深海の主へのリスペクト、食害との関係と実態…サメは必要不可欠(鱶だけにネ!)、また水族館を中心とした飼育に関するテーマも大変興味深いものが多かったです。
 この関係は現会長仲谷一宏名誉教授も強化したいと冒頭挨拶の中で述べられていました。

 呼応する形で、懇親会のあいさつで水族園副園長さんが飼育に関して、「『サメ・エイを見たい!!』と皆さんが声を上げることでそれは必ず実現できると信じている」とのお話が胸に残りました。多くの方の知りたい気持ちが支持となって、研究と理解につながるとの思いが伝わりました。

 僕らはもっとサメを知る必要がある! それはこの地球の先輩であり、海の大事な調律者であり構成員であるサメやエイに対する正しい知識と興味によって研究が進めば、ヒトの鑑となりえる存在として確かなものであることが明らかになるからだと信じています。

 学びましょう!サメとヒトと生かされるすべての生き物のために。


 レポートはぼちぼちあげていきます。(このブログ中心になると思います)どうぞよろしくお願いします。
 ここまでお読みになったみなさん、ありがとうございます。
 私と画面を通してサメの価値を知る旅に出かけましょう。ほんの少しの間ですが…。



過去のレポート
2012年 海遊館でのサメシンポジウム
2004年 東大でのサメシンポジウム

 また今回は交流いただいた研究者の方にコラムレポート更新を期待するお声をいただき、非力ながら好印象のご反応を直にいただけたことが何より嬉しいお話でした。(拙い理解力で申し訳ないと思いつつ…過去のこちらのレポート「イタチザメの遊泳特性」)
 2012年シンポジウムレポートは中座してしまいましたが、今回も出来る限りのレポートに挑戦したいと思います。リクエストをお寄せください、やります!

(…多分)

 どうぞご反応などお寄せ下さい。「中の人」のやる気が出ます…ので。
 あと、会場内の撮影を原則禁止されましたので、画像は控えめになると思います。ご了承ください。


2016年6月21日火曜日

サメ全種類リスト更新。ただし新種一種のみ。

 2016年、サメの情報をあれこれチェックしてますと、ニュースレターのチェック漏れで今年の1月だかに学術誌Zootaxaで、トラザメの新種が記載されているのが分かりました。

 フカく!
 じゃなくて「不覚」。

 2016オリンピック開催地「リオ・デ・ジャネイロ」 の沖で捕れたトラザメ属の1種で、学名を「Scyliorhinus cabofriensis」と名づけられました。(added "sp. nov")

 http://shark-references.com/species/view/Scyliorhinus-cabofriensis

 大西洋沖、南米産で知られる種、Freckled catshark(Scyliorhinus haeckelii) とよく似た種ですが、カラーパターンやクラスパー、神経頭蓋に違いがあるようです。いわゆる隠ぺい種(今まで同じにされてきたけど違う認定)の扱いなのでしょうね。
 昨年見つかった新種、Dark freckled catshark(Scyliorhinus ugoi)もかなりよく似た種です。同じ海域で毎年新種が出るのはいかがなものか。

 望星丸のサメ・エイ対談で、東海大学の田中彰先生がおっしゃっていた、最初にきちんと種を分けておかないと、あとで研究がパーになるという話にも通じそうです。
 田中先生の場合は、「フジクジラ」でしたが。

 つまりは違う種を一緒くたにして研究してしまった場合、研究としては不完全なものになるのだそうです。
 タイプ標本という、いわゆる種を見分けるうえで参考にする見本となる標本の段階で、混同されてしまうと台無しになるとのことでした。

 先生曰く、違う種なのに群れで入り混じった状態で大量に捕れるので始末が悪いなんてぼやきもありました。

 最近の新種発見の傾向は、このようなものが多くなっている気がします。
 同じとされたものが実は違うという、新種あるある。

 他方、1976年に見つかったメガマウスのような、とんでもないサメは海のどこかにいるかもしれません。
 でも私たちに知られることなくひっそりと種が絶えることも否定できません。
 なぜなら私たちは、研究が進んだとはいえ、まだサメのことを全然知らないに等しいのですから。

 サメ全種一覧(サメサイト Haieのナカミ)

2016年5月9日月曜日

関西サメ男の会、京都サメ談話会の報告。

去る5月3日に、京都駅周辺の会議室を借りて行いました、関西サメ男の会・初オフ会「京都サメ談話会」。
 昨年にシャークジャーナリスト沼口麻子さんと企画した「京都サメ談話会」も同会場でした。

 ただ今回は沼口さんのご参加はなく、Haieが沼口さん主催の談話会やイベントでお知り合いになった方を中心にメンバーを募り、お集まりいただけたものです。(直前の大阪談話会で呼びかけていただけたことも大変大きかったです)
 私の力ではなく、沼口さんと皆さんのサメへの好奇心の高まりがこの会が開かれた源だと思えます。



 ご参加いただいた8名の方々になによりお礼を申さねばなりません。
 連休という日にも関わらずお集まりくださって本当にありがとうございました。
 皆様のおかげで本当に楽しい時間を共有することができたと思います。
 
 さて、会にご参加されなかった方のために当日の様子を少しお話したいと思います。

※参加者の個人名や所属は伏せますが、特定されない範囲でエピソードをご紹介します。

 当日は、9時に設営を開始しました。
 18年目のおんぼろマイカーにありったけの夢と希望とサメ本50オーバー(パンパン)と台車を積み込み、会場入りしました。設備の関係で会場となる部屋の変更を前日に告げられるというハプニングもありましたが、何とか事なきを得、ゼミ室のような会議室をそそくさと配置換えし、パソコンを立ち上げモニターにつなぎ、白板に今日のお題を書き連ねました。

 参加者のほぼ全員が午後の会場入りと聞き及んでおりましたので、のんびりやろうかとWebのチェックや印刷物の整理、本の陳列などをいそいそとしておりました。

 そうしますと、部屋のドアに黒い影。
 ノックをして入ってきたのは、沼口さんの大阪でのイベントでお会いし、昨年の京都サメ談話会にもお越しくださったMさん。(以後イニシャルで)
 私が思う関西屈指の沼口さんファンの方です。

  円陣に組まれた座席にご案内し、名札代わりに張るシールを胸元に付けていただきました。そしてお茶とお菓子をご用意。
 しかし、当初のプログラムは変更せざる得ず、(想定の範囲内でした)午後の参加者の方が揃ってから本番ということで談話会の組み替えをしました。

 なので、Mさんとはマンツーマンでお好きな水族館の話題などをWeb情報でモニターに出しつつ、秘蔵映像やサメ本なども交えてお話しいたしました。
 普段ここまで話せる人がいないとおっしゃるMさん、私も同じです。
 話題は尽きませんが、気がつけばお昼時。

 当日は、普段オープンしている施設内のレストランも喫茶店も連休でおやすみとのことで、昼食をどうしようかと考えていましたところ、出前のピザをとることで凌ぎました。
 二人でピザをつまみながら、サメ談義。そういえば、3日前の談話会でもピザ食べていたなぁ。ピザとサメ話は合うのかも。

 食べ終えた頃に、午後の参加者の方々も集まりはじめ、会を本格的に始めることに。会場代を人数で分担する方式で、シンプルな設定でやりました。
  皆さん、差し入れやお土産ありがとうございました。こちらでご用意したお菓子がほぼいらないくらいでした。感謝です。(最後はおみやげとしてシェアしました)

 イベントは、サメ好きの皆さんひとりひとりのプロフィールを質問に答える形で話題を掘り起こし、聞きつつ会話もする体裁をとりました。

 従前の談話会では、自己紹介は軽めでテーマに沿って、割とサメに詳しい方ペースで話が進む形式でした。話の流れができやすい反面、お話があまり出来ない方も出てしまうので、せっかく集まりながらもメンバー同士が交流を持てないのが私としては残念でした。

 なので必ず場の中心になるようローテーションで語る場を設け、皆さんに応じてもらうことでサメについて語りつつ自らのサメ好きもPRして、仲良くなってもらおうという趣旨で始めました。

 サメ好きの10の質問という形で私が司会をし、オープンディスカッション形式で進行しました。
 例えば、サメの印象的な水族館はどこ?、という質問から、「私もそこです!」「まだ行ったことない」「見どころは?」「どんなサメがいる」と、聞き手からの質問にも応じて場合によってはサメ本やオンラインのWebをモニターで表示しながら、情報を補足し、全員の理解を得ながら進行しました。
 特に込み入った話題では、この展開で皆さんのおいてけぼり度は格段に低くなったと思っています。

 でも司会の私がおいてけぼりになり、「バレンシア地方」を「マレーシア」と聞き違える度アホぶりを発揮してたり、司会には向いてないことが図らずも露呈しました。(外回り久しく、普段はPCがお友達な仕事ばかりです)

 そんなこんなで8名の方に入れ代わり立ち代わり話題を提供し、それを元に話を深め、意見を述べたり詳しい方から補足をいただきながら、 非常に濃い談話会となりました。
 でも私の方で画像や資料をすっとご用意できなくて、もたもたする場面もあり、流れはあまり良くなかったかもしれないなと思う場面も。次回に生かしたいですね。

 参加者の方々は40代男性4名、30代男性2名(うち私)、20代男性、20代女性となりました。ほとんどの方が沼口さんのイベントを通してお知り合いになった方です。

 それでも特に 他のサメ好きに誘い合わせてこられた方でも、ジョーズやサメ文学の話題やサメそのものへの疑問にお答えする場もでき、サメを知らない方でも話題の中心になってお話を展開することができてよかったと思います。曰く「不思議な空間」とおっしゃられ、サメ好きの織り成すトークの魅力を感じられたのではないかと思います。

 またすべての方が関西在住ではなく、首都圏や別の地域から来られるので、この会としても「関西在住」「関西出身」「関西のサメ情報に関心がある」ことでオープンにやっていきたいところです。
 なにより「サメ情報の共有」と「サメ好きの交流」という2点を目標に、「ただサメを楽しむこと」を実践していければとの思いです。
  また「サメ男(おとこ)」と冠していますが、女性の参加者も募れる寛容さを皆持っていますので、会の名前の裏切り度がハンパない状態です。

でも、これでええんや。

「サメが好きやったらそれでええねん」 という身もフタもないユルさを維持していけたらいいなと思っています。

 私自身は会の世話人(代表とか会長ではなく)として、場を作ることに専念できればいいなと思っています。私も皆さんのお話を聞いて、サメ好きとしての姿勢や楽しみ方、知識の向上と立場の共感をできたと思っております。
 サメが好きでも、サメを断たないといけなかった経験を持つ方に、私もそんな時期があったと出戻り組として痛く共感したり、水族館のサメ展示はどうあるべきかやサメ好きは何をすべきかという議論もしてみたり、グッズやイベントの情報共有もできたりし、まるで合宿のような雰囲気でした。

 しかしイベントの時間は限りあるもの。
 熱のあがった談話は、17時でお開きに。撤収作業の後(皆さんご協力ありがとうございました)、懇親会と称して近くの居酒屋で延長戦をやるお決まりのパターンで余韻に浸ったのでした。

  何より連休の谷間で、これだけお集まりいただけるとは思いませんで呼びかけ人としてはほっとしたというのが正直なところです。

 いろいろ課題はありますが、まぁ集まりたい時に集まれるよう調整して、やりたいことをやるで、しばらくやっていけたらいいなと思っています。
 また、今回ご参加を見合された方もご希望があればそれに応じて会を運営していきたいと思っています。サメビギナーの方でも敷居は低く、コアなマニアもディープに。なかなか難しいですが、サメが好きという根っこでつながれば、サメ好きとしての自分の行動にも自信とパワーが出てくることと思います。

 積極的にサメを知り、そして楽しむ。知識はさほど重要ではない、サメを楽しむ心こそが、この会の言わんとするところです。あんまり大きな会にならず、マイナーにボチボチやれればいいですね。
 しかし、イベントってやる側の苦労がよくわかりました。沼口さんにあまり迂闊なことが言えなくなるなぁ。いつもいろいろ大変なことをされている、そう思います。
 皆さんも沼口さんの会に参加される時は、労いの心でお願いします。

 ちなみにこの会は、ビジネスでなく有志の集まりなので、HaieはHPの宣伝ができるくらいのメリットです(アフィリエイトは張ってませんよ)。またいろいろ企画して、ブログをご覧の方でもご参加くださることを望んでいます。
(今はFacebook中心ですが)

 私はサメ好きのあなたに会いたい、そしてサメ好きとして時間を共有したい、心おきなくサメについて語る場であればと思います。
 Haieは、普段は電車通勤のどこにでもいるヒラなシャーインです。偉い肩書は何もないです。サメに関する仕事をしているわけでもない。

 そんな人間でもサメが好きということでつながれる。それが「関西サメ男の会」なんです。

2016年4月25日月曜日

泉佐野でフカの湯引きを学ぶ(シロザメの調理)

関空を臨む泉佐野港

海の博物館(三重県鳥羽市)でのサメ展で、サメの食文化について学芸員の方に話を伺った時、全国のサメ食について調べる機会がありました。

資料を漁るうちに、大阪でもサメ食が根付いている記述を見かけました。

私の脳裏に浮かぶ大阪人のサメ食は、「かまぼこ」。
それは落語から得た知識で、雑魚扱いされ練り物にするほかないサメは「外道」という見方でした。

しかしそれは大阪府下においてはどうも異なり、泉州では「フカの湯引き」というものが根付いているらしいのです。
そして現在でもサメは割と上等な扱いを受ける代物であることがわかりました。

 泉南地方では、大阪湾での漁業が営まれており、漁協などが運営する場外市場もそれぞれに開かれています。
 休日には安くて新鮮な大阪湾の魚介類を求め、近隣の方が利用されるようです。

 もしかしたらサメが見られるかもしれない。

 フカくじつな思いを抱きながら、京都から南海電車を乗り継いでやってきました泉佐野。
 駅前から出ている休日運行の無料巡回バスのルートで、う回気味に10分ほど乗れば「泉佐野青空市場」という停留所からアクセスできました。

 午後一時ごろでしたが、駐車場はほぼいっぱいで、にぎわっておりました。日曜に出漁はないにもかかわらず市場には多くの客と魚介が並んでいました。

 

 30近い店舗が建物内で一本の通路に向かい合わせで肩を並べ、呼び込みもにぎやかに活気づいていました。
  並んでいる魚を見ますと「イヌノシタ」「メタガレイ」「ガッチョ(ネズミゴチ)」「コウイカ」「トビアラ(サルエビ)」「手長(テナガダコ)」「シャコ」「ハモ」「ミヤコボラガイ」「ツメタガイ」と砂泥に生息するであろうバラエティ豊かな魚種に驚かされます。
 あまり大きな流通に乗ることのないこれらは地元での消費に回され、府外の人間はまず知ることはないでしょう。
 

 目移りしながら市場を見まわします。肝心のサメは…。
 パッと見、店頭に並ぶ様子はないようです。やはりだめか…。見過ごしてはいないかとまた入口から見ますと、体盤幅50センチぐらいの立派なオスのアカエイがいました。
 裏返しにされ、大きな口がのぞいています。
  値段は「1000」と手書きの赤い字で書かれています。サメがいなければエイでも買うか。
 そう思っていますと、ヤッケを着た茶髪のあんちゃんが、 丁々発止で旦那とやり取りしだしました。
   裏へ表へひっくり返し、見定めたのか札びらをさっと出すなり、アカエイはビニール袋にズボッと収まり、意気揚々とあんちゃんは引き揚げ。キップの良さから察するにそれが目当てであったことはたやすく理解できました。

 自分はあんなふうに買えんわ、と思って他の魚を見てますと「手長(ダコ)が旬やで兄ちゃん!」とだみ声のおかみさん。
 みると、15センチくらいのタコが三匹、ザルの上に鎮座ましまし。
 今日はまけといたるし1300円を100円引きやで、せやけど生きとるの三つはしんどいなと、首をかしげつつ「サメはあらへんのです?」と聞きますと、「サメ? フカか、フカは昨日はあった!」とぶっきらぼうなお返事。

 あるのはあるんやなと安心しつつ、ないもん言われてかなんこっちゃと、おかみはうつむき、私も退散。
 そう思って隣のお店に。

 この市場でよく見かけるごつごつした貝を観察していますと、「これは塩茹でにしたらおいしいよ」とお姉さん。
 ザル二つで600円やけど、500円でどう?とやっぱりようけ買いよしとの攻勢。
 ようけはいらん、と思っていると「お試しで一盛どう?」と察してくれた。
 ほんなら一つと、お買い上げ。これはなんちゅう貝です?、と聞けば「ミヤコボラガイ」と即答。
 これは甘辛く、しょうゆとみりんと砂糖で煮てもおいしいと教えてくれました。

 丁寧に教えてくれるお姉さんに思い切ってサメを尋ねると、「サメ? フカね!そこにおるよ」。

 みると、ぶつ切りになったサメが尾頭付きでトレイの上にちょこんと載っていました。

 サメや、間違いなくサメや、いやここではフカか。
 色合いから察するに「シロザメ」。頭、胸、胴、尾っぽに分かれた姿でありました。
 値段は「1300」。あのでかいエイより高い。でも目方は3キロくらいはある。
 「それもらいます」。
ニオイもなく、美しい新鮮な白身
即断即決お買い上げ。
  ワタは抜いてあるか聞きますと、一応とってるけど少し残っているからきれいにしてあげるわ、とあつらってもらうことに。
 聞けば、買い付けてすぐに下処理をするので、鮮度は保証できると自信の回答。
 たしかに、肉を見たらまだ動いていました。血抜きなんかもしっかりやってるので全然臭くないとの話でした。
  ここまでしっかりサメの処理ができるとこが近畿にあったとは…。

 保冷剤も詰めてある、用意していた布製のクーラーボックスを差し出し、入れてもらうことに。
 処理をするまで時間かかるからちょっと見て回っておいてと、その場を離れ市場内のお寿司屋に寄ろうとすると、12組待ち。
 仕方なく、もう一往復。

 他の店も店頭と生け簀の様子を隈なく見ましたが、サメは私が買ったところにしか置いていないようでした。
 改めて聞くと、サメはそれほど水揚げはないそうで、地元では湯引きで食べるのが定番、煮つけは聞いたことがないそう。他にも、唐揚げなんかもすることもあるそう。
 話を聞くうちに、サメのプロと大将に呼ばれる職人さんがさらに詳しい食べ方湯引きの注意点なども事細かに説明してくださいました。
 湯引きは、海水(か同等の塩水)で軽く洗い、沸騰させた海水で身ごと鍋に放り込み10~15秒ですぐに引き上げ(早いかなと思うくらいで)、ざらざらの皮の部分が指でめくれる状態をたわしでそぎ落とす。
 この時、皮のプルプルしたところを残すようにしないとおいしくないそうです。
 
湯がいて表面の皮だけ捲れやすくなった状態。軽くこすればポロポロとれた。
実際に家でやってみると、表面のザラザラだけが落ち、プルプルの部分はきちんと残りました。
ここから水気を取り、5ミリから1センチ程度にぶつ切りにしたものを海水で1分少々湯がいて、氷水でしめれば、湯引きの完成です。

 
右側の皮のプルプルがイケる! ハラスの部位もいい食感でした。


 酢味噌でいただくのがベストとのこと。
 さらに私の買った身は、鮮度抜群なので刺身にもできると勧められました。胴の太い部分がいいとのこと。
 なので湯がかずに皮を削いで切り分けました。見た目はタイに似た白身で非常にきれいです。
 食感は少しスジがあるものの、タイと遜色ないムチムチ感。食べごたえある刺身でした。
貝は茹で方が足らなかったのか、あくが十分にとれずやや失敗。また挑戦しようかな。
 唐揚げも、身が思ったよりほぐれやすいので、片栗粉を混ぜるか、市販の粉をたっぷりつけた方がよさそうです。湯引き後に揚げるのもありでしょうか。

 市場できちんと丁寧に食べ方を知れば、食の豊かさはさらに増すのです。
 地モノの魚をおいしくいただくのは、ごく自然な食への関わり方で、土地の個性でもあるでしょう。
 地産地消の意味するところは、すなわちこういったことの伝承がきちっとあるかどうかなのでしょう。

 江戸前ならぬ浪花前ともいうべき泉南の魚介。
 もっともっと楽しめそうなフカい魚のワンダーランドというべきでしょうか。
 親切に教えて下さった鮮魚店「えぼし」さん、ありがとうございました。

(2016/4/25:店名を修正)

2016年3月24日木曜日

海遊館サメ講座 参加レポートその2

お待たせしております、海遊館サメ講座の続編をアップいたしました。
例によって、サメ好きのおっさんが嬉々として燥ぐ様を克明に記録したドキュメント仕様です。

海遊館サメイベントレポート その2
 
ご感想などいただけましたら幸いです。

全三回の予定でございます。次回完結編おたのしみに!

2016年3月21日月曜日

東京サメ談話会への参加(天狼院書店:池袋)

 

 去る3月18日金曜日、東京は池袋(雑司ヶ谷)にある、天狼院書店さまで、シャークジャーナリスト沼口麻子さん主催の「サメ談話会」が催されました。

 こちらでは、天狼院書店さまが趣味や目的を共通とした「部」を設けておられ、例えば、ライティング講座やビジネススキル向上などの部で定例会を行われています。その一つとして「サメ部」が存在し、サメ談話会としてサメ好きの交流や意見交換などが月に一度この場で催されるのです。
各部会の開催日に応じて書棚のテーマがあるカレンダー仕様。斬新!

 そして今回のテーマは「ネズミザメとメジロザメの違い」。いわゆるサメ界のトップスターが居並ぶホホジロザメなどの「ネズミザメ目」、オオメジロザメやイタチザメといった危なめのサメをも含む「メジロザメ目」、この2者の比較ということですね。

 以前の講座が「バケアオザメについて語ろう」なんていう超マイナー路線だったのに比べれば割ととっつきやすいテーマかと思います。


 さて私が東京に来るのはほぼ10年ぶり。しかも当時もあまり用事のなかった池袋界隈。

 宿を新横浜に設定したため、そこから向かいました。
 東横線で渋谷乗り換えしないと…「副都心線直通?」。私の知らない間に営団、もといメトロの新線が開通して会場の最寄り駅となっていたのです。便利になったもんだ。
 東京メトロ副都心線雑司ヶ谷(ぞうしがや)駅で降り、北向きに歩いて向かえばいいのですが、お店の最短最寄駅は「都電雑司ヶ谷駅」。メトロの雑司ヶ谷駅はその都電のひと駅南の「鬼子母神前駅」の乗換駅でもあるのです。ややこしい!

 東京時代は都電の走る町に住んでましたので、なつかしさと全区間170円(10円値上がりしてた!)で乗れる便利さもあいまって乗りました。せわしない街にこのようなのんびりした電車があるというのは奇跡に近いですね。
 埼玉方面からお越しの場合は、京浜東北線・南北線の王子駅から都電に乗れます。
 山手線では大塚駅でも都電に乗れます。
 千代田線・常磐線、京成線でお越しの方は町屋駅でも乗れます。
 くどいのでこの辺で止めます。(いずれも副都心線以外早稲田方向)

 そして都電雑司ヶ谷駅からのルートは、駅西側にあるコンビニのミニストップを目印にやや曲がった一本道の左側を歩いていきますと、コイン駐車場の並びに「甲州屋」という一見居酒屋みたいなソバ屋のあるビルがありまして、そこの2F部分、ビルの右側に細い階段がありますのでそこから入ります。(落語調なのはお許しを)

 穴場とか隠れ家風といったお店の雰囲気です。

 お店に入りますと右側にレジカウンターがあり、ちょっとした飲み物なども頼めます。でも1Fのお蕎麦の出前を持ってきてくれたりはしないようです。
 私はそのまま入ってしまい、あとで会費とワンドリンクチャージを払いました。 (¥3000+α)

 沼口さんが部屋の奥で厳つめの男性(店長さんのようです)とお話し中でした。少し待って話しかけますと、遠いところありがとうございますと歓待されました。私もまさかここまで来ることになろうとは…。たまたま予定が合ったので少しのぞいてみようというのが偽らざるところです。
  かねてから噂には聞いていましたが、いざ来てみると本屋さんとカフェの間くらいのスタンスで気に入った本を探しながら読みつつもくつろげるというものです。
 
 そして今回のような好事家のイベント会場にもなるフレキシブルな営業形態でもあります。

 すでに会場入りされておられる方もいらっしゃいますが…皆さん大人しくお待ちです。
  皆さんどんなサメ好き、サメマニアの顔をお持ちなのでしょうと一人ワクワクしておりました。

 常連さんばかりなのかな、と思いましたがそうでもなく、また談話会のメンバーも毎回違うそうです。たしかに店内のキャパを考えますと、10名の会合でまあまあ、それ以上となるとなかなか大変な状態かもしれないですね。
 
店内に炬燵が! 寝落ちしそうな魔の空間

 19時より私を含め10名の方がお集まりになり、談話会の始まりです。21時までお世話になります。

 まずは自己紹介から、とここで注意事項。
 沼口さん曰く、サメ好きの方は基本おしゃべりで自己紹介が長くなり、全員終えるころには終わりの時間になるとのことで、「手短に」と促され、まずは私から…(なんで!?)。

 私の場合、サメのHPを10何年やってますぐらいのあっさりしたものです。詳しくはWebで、並みの手抜きCMのようで正味2分ぐらい。
 私以外の方は、ジョーズ属性の方、水族館属性の方、生物学属性の方、ダイバー属性の方など多彩な顔ぶれでした。関東近辺がお住まいで多かったのですが、関西からも海外サメ旅行の前日というホットな方もおられ、驚きました。

 特に勇気をもってこの場に臨んだ無属性のサメ好きの方などもおられ、談話会の間口の広さを感じました。

 では本編。(やっとか)

 今回のテーマ、ネズミザメ(の仲間)とメジロザメ(の仲間)との違い。

 沼口さんがコンビーナー となって、進行、話題の提供や補足などを行い、私がフリップ持ちのアシスタントのような役回りでおりました。(どっちかいうたらスタッフ目線)

 用語説明の折には、持参のミニホワイトボードを使って字を書いたり絵を描いたりしながら、参加者の理解と情報の相互作用を確認しながら談話会は進みました。

 この2分類のサメの体の特徴から違いを導き出すことでまず話題に挙がったのは、目の特徴。
 いわゆる「瞬膜(しゅんまく:nictitating membrane)」の有無でした。(メジロザメ目では4つの科に限り備えているようです) 。なかなかマニアックなはじまりですな。
 メジロザメの仲間がもつ、これはいわゆる「まぶた」で、獲物を襲う時に目の下から薄い膜で眼球を保護する仕組みがあるというもの。まぶしくて閉じる性質はないと、先般の海遊館講座では教わりました。
  対して、ネズミザメは獲物を襲う時に眼球を保護するという目的は同じながら、瞬膜は備えておらず、眼球をひっくり返すことでそうしているとのことでした。

 これらの説明の時、書店にあるサメ図鑑などの書籍を持ち出して参照するという、本屋さんならではの活用術が生かされました。これは好都合。

  また頭部や顎の違い、体躯(ゴツさ)の特徴、そして尾びれの形状まで、話は追い及びました。
 尾びれの話題で、沼口さんからその特徴について試問を受けた時はビックリしました。不意打ちとか心臓に悪い。(答えられてほっとしましたが)
 
 私をあまり試さないで~ボロがすぐ出るから(笑) ※非研究者

 サメ勉強会ぽい流れになる感じですが、参加者の方からもぽつぽつと意見や質問も出てなかなか濃い内容で話は進みました。

 そして参加者のS氏から研究されておられるサメの歯にまつわるレジュメが配られ、歯から見る違いというものを導き出しました。当日は沼口さんが入手した「バケアオザメ」の顎標本などもありそれらを使って実際に見て触れるといった体験を通じてサメを知る機会もありました。
ドリンクを飲みつつ、本を眺め、座って語れる最強の布陣。

 そのなかで、サメの遺伝子情報ではネズミザメとメジロザメの仲間は割と近くて、ただ出現時期などがネズミザメがやや古い時代(数千万年前)なのに対してメジロザメでは数百万年前の時代から現代にいたる時期が種の繁栄のピークではなかろうかという考察でした。

 メジロザメの仲間でも特徴的な「シュモクザメ」の話題も飛び交い、シュモクザメの危険性はかなり低いとか、ヒラシュモクザメの泳ぎの特徴がユニークとか、頭の形と進化の関連性、伊豆と与那国で出てくるシュモクザメの群れの違い、はたまたシュモクザメはサメの中でも種の出現がかなり新しいということまで話題が及びました。シュモクはネタの宝庫ですなぁ。

 またシャークジャーナリストとして沼口さんが取材した神子元島のシュモクザメ調査の報告もありました。経過報告が楽しみな研究ですね。

 オフレコの情報も飛び交う中、会に参加されないお客さんと思しき方からも「チコとサメ」という古い映画の話題に反応されたり、USJのサメグッズについてなど参加者同士の話題も方々で上がり、特に私の場合、次の日に都内の水族館でどこを回ろうかと考えていたところ、居合わせた方が関係者の方でそちらにお伺いすることに。ノコギリエイ推しとのことで興味が湧きました。

 なんだかんだで時間も予定を大きく超えて盛り上がり、サメ好き同志の交流は続きました。私のHPの名刺なんか欲しがる方は少ないだろうと思ってましたら予想以上に手が伸びて驚きました。もっと刷ってくりゃよかった。

 そして例によって記念撮影。
 私は顔ばれ防止用のジンベエパペットを着用しましたが、書店の女性スタッフの方が、「カワイイー」と注目されました。なので海遊館で売ってますよと宣伝しておきました。(だから関係者じゃないって!)

 有志の二次会にもチラッと参加しました。なにせ次の日の予定もあり宿が新横浜設定なので。
 短い時間ながら、これからシロワニを見に海外へ行かれるという方に、「シロワニは統計上、人を襲ったサメ第4位ですよ」と話すなど「いけず」な情報を差し上げてみたりしていました。
 関西サメ男の会(仮)の参考にしようと談話会に臨みましたが、サメ好きの濃さに圧倒されながらも、 負けないようなサメ同士の交流ができる場をとの思いも強くなりました。

 書店のスタッフさんとお話する中で東京から京都へもこちらの天狼院書店さんは進出予定とのこと。これは何と有力な情報! 京都でも関西サメ男の会(仮)の交流の場にできたらよいなとお話をいたしました。

  持参したネタの半分も活用できず終えたのが残念な一方、サメ好きの方と広く交流ができたことは大きな収穫でした。皆さん関西訪問の折りはどうぞよろしくお願いします。

 サメ好きの皆さんからパワーをいただき、充実した時間が過ごせたように思えます。私が関東へ来る日付を設定した直後に開催日を知ったので、今回参加された方との出会いは本当に奇跡だと思います。たくさんお話しできた方も、そうでない方も、またサメ縁フカくお付き合いできればよいなと思いました。


 それはそうと海遊館レポートより先にあげてしまってスミマセン。きちんと報告しますのでお楽しみに!