2016年1月16日土曜日

サメの解剖教室のお知らせ(須磨海浜水族園)

サメの解剖は冬に限る。

なぜならとても「におい」がするから。
 私はあまりに気にならない方なのですが、昔とあるイベントでのサメ解剖で、時間がたつにつれて、この理由によって見学者の数がだんだん減っていったのが印象的でした。

サメ飼育のアツい須磨水族園で、サメの解剖教室と銘打ったイベントが行われるようです。

2016年2月14日開催 於:須磨水族園 レクチャールーム

詳細はこちら

写真を見る限りは、献体はエイラクブカっぽいのですがどうでしょう?

普通の魚と違って、サメの体はどうできているのか、つぶさに観察できる良い機会ではないかと思います。

申し込みは2月1日締め切りで、20名の定員で多数応募の場合は抽選とのこと。
ふるってご参加ください。

(注:Haieはスマスイの関係者ではございません)

 スマスイではこんな話題も…
サメに勝てず「海猿」公開潜水訓練を中止 神戸

二匹のクロトガリザメ…ですか。確かに大きくなったからねぇ。

2016年1月13日水曜日

カスザメ、またの名をエンジェルシャーク、モンクフィッシュ、そしてサンドデビル。

サメ食。

いま俄かに「サメ食」がアツい、そうです。
拙サイト、「Haieのナカミ」でも、サメ料理のコンテンツはロングランに訪問者が続いています。
検索して私のサイトに来るなど、よほどの物好きでしょう。おとなしくクック○ッドで調べてきなさい! サメ好きがサメを料理して食べたレポートしかないですよ、うちは。


 決して料理の参考にはならないので、ちゃんとした人のところへどうぞ。

話がだいぶそれましたが、サメ食でもかなり珍しい「カスザメ」を食べたレポートがこんなサイトで上がっています。

デイリーポータルZ

これほどのカスザメ愛を感じるコンテンツがいまだかつてあったでしょうか!



天使のサメ、とはそちらでも紹介されている通り、英語圏での「Angel Shark」のことをさしています。そして修道僧のフードを連想させることから「Monk Fish」とも呼ばれています。

そしてカリブ海のカスザメの仲間は「Sand Devil」おそらく天使とは似つかぬほど始末の悪い魚と漁師には見られていたのでしょう。なんとも因果なネーミングですね。

日本では、このほかにコロザメというカスザメの仲間がいます。わさびおろしで重宝されるのがこのコロザメだそうです。私も以前、鳥羽水族館のサメ展で、丸のまま干したコロザメをわさびおろし器としていたものを見たことがあります。

 見た目が野暮ったい割に、九州では高値の取引もあるとかないとか。縁起物とするという言われもあり、名実ともに天使なのでしょうか。


 ちなみに意外と飼育の難しいサメで、餌付けなどかなり気を使うようです。スマスイでは常設展示されています。(2015年11月現在)。
 このブログのプロフィール欄でじたばたしているのは、この子だったりします。
 
 しかしながら一度食べてみたいものです。

2016年1月9日土曜日

ホホジロザメが飼育できるか本気で考えてみた



ホホジロザメの飼育。


おそらく、サメ好きならば一度や二度はその夢想をしたことがあるかもしれません。

すでに聞き及んでいる方も多いと思いますが、沖縄美ら海水族館でホホジロザメ(沖縄名:ミンダナー)のオスの成体が、4日間展示されていたようです。






搬入の経緯などは公式にもされているので割愛しますが、三日間、同館のオオメジロザメ(沖縄名:シロナカー)やイタチザメ(沖縄名:イッチョー)のいる「危険ザメの海」水槽で見ることができたとのこと。

見ることができた人はラッキー…とはあまり言いたくはないのですが少なくとも貴重な体験であったことは間違いないでしょうし、海の王者をその目に焼き付けることができたことは、サメが恐ろしい生き物以上の存在であると知る機会であったでしょう。

しかし、美ら海水族館は最初から飼育がうまくいくと思っていたのでしょうか。
本気でホホジロザメを飼うということにどれほどの覚悟があったでしょう。


ここに一冊の本があります。

昭和63年発刊の「水族館動物図鑑 沖縄の海の生きもの」と題された図鑑です。
発行者は「国営沖縄記念公園水族館」、つまり現:美ら海水族館の前身です。

この図鑑の特徴は、単に沖縄に生息している海の生きものを並べただけではありません。
ここには、水族館がいかにして生き物たちと対峙して飼育に当たってきたかが詳細に書かれており、飼育の事績を知ることのできる貴重な文献です。

珍しいサメをどれほど生かし、飼育を試みてきたか、少し荒っぽくさえ思える記述が並びます。
「○○ザメ、同居のサメに食われ、3日で死亡」といった生々しい記録がさらりと書かれています。

今同じ内容でこの本を出したとしたら、いろいろ突っ込まれるのではないかとさえ思えます。
少なくとも私は初見では衝撃を受けました。
ただ、水族館に近い職種の方々には私のような新鮮さはあまりないようですが。

話を戻しますと、ホホジロザメを水族館で飼うことができるのかどうか。


現状では、生まれたてのホホジロザメが198日間水槽で飼われていたという事実以外に、「飼育」と言い為すことのできる情報はないようです。
 コラム「モントレーベイ水族館のホホジロザメ

なぜホホジロザメを水槽で飼うことが困難なのか。
一つには器の問題。
成体ということであれば、まず大きさが一つの制約となります。4m前後がホホジロの捕獲例でも多く知られることから、この大きさでもって扱いができるかという現場の経験が試されるでしょう。

次に搬入などの問題、これは生きたままサメを運び、水槽に落とし込むシステムがないといけません。いまや全国で見られるジンベエザメで、その搬入技術が飛躍的に向上したことからも、ある一定の規模を持つ水族館ではこの条件はクリアできそうです。

しかし、ジンベエと違い非常に遊泳能力の高いサメでは、いかにおとなしく運べるかということも重要です。暴れて傷ついて持たなかったサメも多くいるでしょう。
今回の美ら海に限っては、この点をどうにかパスできています。さすがというしかないです。

このことだけでも相当な経験の裏打ちを示していることでしょう。

そして継続的な飼育環境の問題。
無事水槽にたどり着いたら、今度は用意した環境に慣れてくれるかどうか。
狭いことは間違いないので、水槽の大きさを認識し、壁にぶつからず泳ぐことができるかどうか。この点がかなり重要です。

殊に、遊泳速度の速いこういったサメは、鼻からぶつかって感覚器官を傷めて衰弱することが死因となることがあるそうです。
つまりサメに対する刺激の極力少ない環境を用意せねばならないということでしょう。

動画を見る限りでは、サメなりに水槽の大きさを認識し、遊泳をしています。しかし、力強く泳げているかというとそうは見えません。

この点においては、美ら海は極めてストレスの多い他のサメとの同居を選択しました。ここに難点があると私は考えています。

サメの敵はサメ。

大型のサメになればなるほど、競合するのは同じサメ同士であることもまた事実。飼育下では万遍なくエサを与えてはいますが、食いの良さ悪さとともに水槽内のパワーバランスが保たれねばなりません。

ある水族館では、新参のサメが古老の大型魚にパクリとやられたこともあるそうです。サメだから…というのは先入観で、実際新たに生き物を投入することはエサとなる事例も少なくないようです。(前述の書籍もそういった事例が挙げられていました)

つまり、ホホジロに限っては単独飼育が望ましい、と。他の生きものを排除した状態(競合する存在がない)であればサメは環境に慣れることに専念できるでしょう。

あと私的考察ですが、サメの感覚器官を刺激しない環境を整備すること。
ホホジロは地磁気を感じて、大洋を回遊するといわれています。いわゆる電気受容の出来る感覚器官の存在ですが、その機能がサメに方向感覚や距離感覚を与えているとするならば、電子機器や磁場の発生する装置を極力遠ざける必要性も考えられるのではないかと言うことです。

磁界の発生するモーターや電気設備なしに水槽を維持することはほぼ不可能です。なので、遮断器具を駆使した低刺激の状態を想定することがそういったストレスを軽減する手段となると考えられないでしょうか。

エサについては、粘り強く与え続け、活餌や強制給餌も駆使せねばならないでしょう。強制給餌とは、ありていにいえば無理やり口にねじ込み、エサを胃袋へ通すことです。私がこのことを知った時、生き物と接することの壮絶さを知るとともに、生かすとは人間の意思ありきなのだと考えさせられました。

美ら海水族館がどういった想定でホホジロザメの飼育に踏み切ったかどうか、私が知る由はありません。偶発的な捕獲に対してどれほどの準備が可能か、恐らく普段から受け入れ態勢を整えられる環境を維持されているのでしょう。
(沖縄未訪問で、ある機会に館長さんを間近で拝見したことはありますが、面識はありません。水族館界のエンペラーとも尊称される方ですので、凡人のサメ好きでは畏れ多い存在です)

少なくとも「ホホジロザメの生きた姿を多くの人に見てもらいたい」という熱意に偽りはないでしょう。だったら、私は一匹や二匹どうにかなったぐらいであきらめてもらっては困ります。

死体を子細に解剖し、死因を突き止めるとともにあらゆる技術的人的資源に多額の費用を用いて本気を見せて欲しい。

もしそうでなければ、私は「ホホジロザメを飼育することは不可能」と言い続けなければならないでしょう。
マグロですら養殖できる時代、もはやホホジロは永遠に届かぬ遠い「おサカナさん」 ではないと思います。もはや夢想するにも荒唐無稽だとは誰も言えない。
今では観られて当たり前の無数の海の生き物が、沖縄の地で着実に飼育メソッドを育まれてきたことはゆるぎない事実なのです。

つまり美ら海水族館がホホジロザメの飼育を…

やるかやらないか(To Be or Not to Be

ただそれだけのことでしょう。
 

私ごときサメ好きが、偉そうなことを言うもんです。本当に反省しています。

ちなみに前の記事でホホジロに触れていますが、私がこの飼育の試みを知ったのは、ずいぶん後ですので誤解なきよう。

2016年1月4日月曜日

サメをよりよく楽しく知るために

 私がサメを知る方法

 自身がサメ好きということが知られると、そう話した相手(サメ好きでない方)からいろいろと質問を受けることがあります。

 「サメって、本当に人を食べるの?」
 「サメとフカはどう違うの?」
 「サメに襲われたらどうするの?」
 「ホホジロザメって、どこの水族館で飼っているの?」

 はっきり言います。
 サメ好き=サメに詳しい ということはありません。(少なくとも私の場合ですが)

 サメ好きというのは、サメに対して人より興味を持ち、サメを知ることに対してアクションを起こすことのできる人であるということなのです。(シャークジャーナリストの沼口さんは「シャーキビリティ」という造語でそういっておられます)

 つまり誰しも発展途上なのであって、サメ好きは学者でも研究者でもある必要がないのです。無論、結果としてそういった道を目指すことはあってもサメ好きであることそのものは、根本的には変わらないと考えています。

 では上記の質問についてサメ好きはどうこたえるべきか。

 「大きなサメは人"も"食べます。でも常食ではない」
 「サメとフカは同じ。関西ではフカと言うことが多いぐらい」
 「滅多ないけど、サメに襲われたら、早く水から上がること。殴る蹴るはケースバイケース」
 「ホホジロザメは水族館では飼えない(過去の実績から)」

 答えとすれば、このような回答があるでしょうか。いずれも正解とは言い難いニュートラルなものですが、誠意を持って答えるなら私の知る範囲ではこの程度です。
 でもサメ好きの正解は、「自分で調べて」だと思っています。

 こう答えるのは実に不誠実だと思われるかもしれませんが、サメ好きとしてサメを自分で知ってもらうことが何よりサメを好きになる近道であるとの私の考えがあります。
  サメを調べていくうちにサメを好きになる、このステップをやはり踏んでもらいたいのです。
 インターネットでもいい、サメについて書かれた本ならなおよし。

 知れば知るほど好きになる、この魅力的な生き物に興味を持つことの出来るあなたは、きっとサメが誘う知の旅へと歩み出せる方でしょう。

 サメの存在に価値を見出す。このことが海を知る、生き物を知る、文化を知る、より興味を引き出すそのきっかけになることでもあるのです。

 私はサメの存在に偏見を持っています。
 「好き」ということは、他に比してより強い興味を持つことですから、そこにバイアスがかからないはずはありません。強いて言えば、サメ好きこそ、サメに偏見を持つ人間であるとも言えるでしょう。

 この偏見とは、決してサメを見下すとか忌み嫌うということのみを指すのではなく、サメに肩入れするとかサメの価値を過大評価することも含んでいます。
 この海で高位に位置する捕食者のことを、極まったサメ好きは神秘や崇拝の対象にすらしているでしょう。では、実際に海でどのような役割を担っているか、手当たり次第に魚を食べる貪欲なハンターでないことを否定できるかどうか。

 残念ながら、サメ好きであってもサメが獰猛なハンターであることを否定する人は少ないでしょう。
 サメの驚異的な捕食能力は、イメージとしてはサメを強い存在として認めるに値するでしょうが、そういった「ステレオタイプ」のサメがかなり少数派であることもまたサメの真実であると考えています。
 そしてサメという言葉を、いわゆるホホジロザメと同義に考えることもまた偏見であると思うのです。「サメ好き」と「ホホジロザメ好き」では、また意味が違ってきます。
 
  私は映画「ジョーズ」を見たことがないサメ好きです。サメ好きの下地とも言うべきこの原体験が私には欠落しています。この多くの方をサメ好きに導いたファクターがない人間でもサメ好きになれる、サメを好きと言えると私は体現しているのです。

 私がサメを知る手段は、主に研究者の方が書かれた本です。しかしながら、私自身一次情報でサメを知る機会は、皆無に近いのです。

 本物のサメと接する機会がほぼない、それでもサメ好きを名乗っても構わないと考えています。できればサメをマスコットの一つとして愛でることからさらに一歩進んだ生き物としての存在に興味を持ってもらいたいというのが本音ではありますが。 

 詳しい情報は、サメそのものの研究を生業とする方に頼って、サメ好きはそういった方々へ支援をすることが何よりサメを知ることの近道であるでしょう。支援というと何か偉そうな響きに聞こえますが、難しいことではありません。
 直接的には、日本板鰓類研究会へ入会し、会費を払ったり、直接講演などを聞きに行くことだったり、研究者の書いた書籍などを欠かさず買うなどといった方法があります。

 私は会には属さないながらも、研究者の方の動向には関心があって講演などがあれば行ける範囲で参加しています。(会に属さないのは理由があるためですが)
 そして私の拙い理解力で把握した内容については、本家サイトでちょぼちょぼとお話にしたりしています。(私にはサメのお話を分かりやすく伝える力が乏しいのですが)
 →サメコラム

 私にできる範囲で、こういった情報を更新できればよいなと思っております。
 当方には、海外(国内)を飛び回ってサメ情報に触れる経済的にも時間や空間的にも余裕はないので、ネットを駆使した部分が多くなるでしょう。

 もう一度言いますが、私はサメに詳しい人間ではありません。
 サメに対して興味を持って、その情報に触れる機会をもっと持とうと考える、少しだけ変わったサメ好きなのです。

 SNSに参加していないので、はぐれオオカミの状態ですが、運悪く私のブログに行きついた方は、どうぞ興味の赴くまま、サメについての情報にたくさん触れてください。
 私のサイトではきっと満足できず、さらに調べたくなるでしょう。
 その時こそが、サメ好きとして知の旅へ出かける時です。

 その旅に楽しさを見出すことが、私の最も望むことであるのです。
 
 

本家サイト(公開終了)