2017年12月20日水曜日

サメ総括2017 & スマスイ電撃訪問(メジロザメラッシュ)

2017年も残り2週間を切ってしまいました。
早いものです。

暮れから年度末にかけては、本業がクソ忙しくなるためブログはもとよりSNSする暇もないのが実情です。(それ以外はヒマ? 言い訳乙)

はい、今年も投稿が少ないですねぇ。m(_ _)m
ウチワシュモクザメの遊泳。尾ビレ以外はほとんど動かさない省エネ遊泳でもある。動いていないように見えて、尾ビレは激しく動いている。つまり…


 ところで、今年のサメ活動の締めくくりに近隣の水族館を訪れようと考え、スマスイ(神戸市立須磨海浜水族園)をラスト訪問先に選びました。
関西サメ男の会(開店休業?)メンバーであるS氏の情報で、「スマスイメジロザメラッシュ」が勃発中とのことで、これは行かねば年が越せん!と単騎出陣を決行したのです。

12月某日。
ハーバーランド界隈で午前中に私用を済ませ、スマスイへ向かいました。
冬の水族館はオフシーズンなのですが、12月はデート目的のつがいであふれかえり、サメ観覧には不向きです。

例によってチケットを購入し(年パス不保持者)、カップル・ファミリーの合間を縫ってサメの溢れる「波の大水槽」へ。

スマスイでサメと言えば、この「波の大水槽」。
先日(9月吉日)も、関西サメ男の会での会合先にこのスマスイが選ばれました。
サメ仲間とともに過ごす時間は至福のひと時です。(呼びかけ人のK氏に感謝)

件のS氏もスマスイ常連で、ほぼ毎週通っているとか。
そして例の「メジロザメラッシュ」は、小型のメジロザメ類(種は不明)が新規に搬入され、その数が1尾2尾ではないとのことでした。
実際に確認してみますと…。

確かに! 60センチほどの子ザメが表層を群れるように泳いでいあるではありませんか!
左は古参のツマグロ。中央が新参のメジロザメと思われる。右はハナザメ(S氏より情報)

おお、しかも5尾ほどは確実に9月以降に来た種類だろうと推測されます。
一昨年搬入のクロトガリザメは、体長こそ1.5m(目測)は越えたものの、すでに傷が多く、体格もやややせ気味です。
その後搬入のドタブカは割と丈夫なのか、悠々と泳ぐ2尾が1mそこそこで状態もすこぶる良いです。

スマスイでメジロザメと言えば古参のヤジブカも衰えを見せぬ体格を維持しています。
長くサメを飼うことの難しさを理解しているものからすれば、奇跡の水槽です。

特徴をつかむために水槽に張り付いて撮影をします。一応後ろに立たれた時は、少しずらすなどしてなるべく見ていただけるようにわずかに気を使います。

それでも夢中になると視野が狭くなるのですが…。
サメ好きの生態には抗えぬものです。

と、私の隣にかなり体格の良い御仁が立たれました。
おやっと、御顔を覗き込むとなんと「S氏」だったのです。
「おおう!」と思わず声が出ました。
 「Sさん!Sさん、●●(本名)です。Haieです!」
訝しげな顔を一瞬されましたが、私とわかると一気に笑顔に。

普段と少し装いが違いましたので、すぐわからなかったようです。(変装ではないです)
いやぁ奇遇とはまさにこのこと。
私も、スマスイはS氏のホームなので、もしかしたらいてはるかな、なんて思ってましたが。いやはや、嬉しい限りです。
「Sさんのメジロザメ情報で来ましたよ」と告げますと、 早速目の前でサメ談義が始まりました。
既存のサメと新入りのサメの見分け方から、その数や特徴について…。


各ヒレの先端に黒い斑紋が見られるのはハナザメ。
よく見ますと、たしかに第一背ビレ、第二背ビレ、尾ビレ下葉、胸ビレ内側、 しりビレ、の各先端に、黒く濃い斑紋がついています。(前回搬入の個体だそうです。訂正12/20)

ハナザメの若魚は各ヒレに斑紋あり


例によって、特徴の似通った「ドタブカ」「クロトガリザメ」「クロヘリメジロ」「カマストガリザメ」「ハナザメ」などの名前が上がりましたが、若魚の特徴をとらえきれません。
S氏は、図鑑から引用したこれらの特徴を「Facebook」上で投稿したようで、それを読み上げてくださいました。
しかし、若魚は成魚の特徴とは異なる部位も多く、参考にするには難しいようです。
(S氏は、この投稿にあまり反応がないと嘆いていました…マニア向けですからねぇ)
 若魚に見られるヒレの黒斑は、「カマストガリザメ」の特徴であると、「日本産魚類検索(東海大学出版会)p.175」記されていました。どうでしょうか?


 ハナザメとは別に、鈍い金属光沢を放つ若魚の一群が、新規搬入組だそうです。
 
斑紋のない新参メジロ。ホントに混乱しますね。


ただ、この時間帯の水槽ではかなり自然光を受けており、そのため若魚が非常に印象的に金属光沢を帯びていました。メタリックボディは、クロヘリメジロも「Copper(赤銅)」や「Bronze(青銅)」を冠するサメなので、私はそう思いましたが、如何に?

自然採光のため、光の影響を受けることが多い。
スマスイはこの自然の採光が時に撮影者の腕を求めることもあり、その点では難儀なのですが、観賞に当たってはサメの美しさを引き立てる絶好の効果をもたらすのです。

そう、この水槽は観る時間帯によってサメの姿を楽しめる光のイリュージョンなのです。
S氏はスマホで、私はコンデジ(新機)でそれぞれ撮影に挑みながら、見比べ合い、時にサメの特徴や水槽についての話もします。

ここでおもむろに「プチ・サメ男の会」です。
ホームだけあって、S氏はこの水槽の変化についても教えてくださいました。
「シノノメサカタザメ(エイ!)の若魚がコーナーからこちらへ搬入された件」
…尾ビレがややひん曲がっており、成長期に狭い水槽にい過ぎたことがアダになったか?
「タイマイ(ウミガメ)が、搬入された件」
…模様が非常に美しい! カイメン(エサ)を投入すべき! サメの若魚の天敵は実はカメらしい。
 などしばらく来ないうちにまた変化しているようです。

自然光の当たりが変わって撮影がやや難儀なため、少し館内を巡ることに。
観覧者も多く、冬でもにぎわいを見せる各コーナーの様子は、 スマスイの人気ぶりを大いに感じます。
各水槽でコメントしながら二人で回ります。

そうそう、気泡の溢れるアマモ水槽ですが、私の今年一番のヒットは、こちらで見られた「ワレカラ天国」です。(今はその姿を見られませんが)
中央のくねくねした紐みたいなのがワレカラ

ワレカラは1センチほどの微小な甲殻類なのですが、それらがアマモにびっしりとしがみついている(苦手な方もいるかもしれない)凄まじい様子が一時期見られました。
恐らく春先にワレカラが大量に出現するのでまた見られることと期待します。
S氏はここでヨウジウオを見つけられるのに苦労しているとのことでした。
アミメハギとかいるよねぇー。
色々とバブリー(光合成中!)な水槽です。注目株です。
ウツボの口について、とてもわかりやすい!

ニシキテグリ(?)カメラ目線です!

微小な歯が並ぶナヌカザメ。なかなか間近に観察できない。

 ほか、手書きの説明版に工夫が見られたり、ホシズナの観察ができたり、戌年を先取りした水槽群などサメ以外の話題でも楽しみ合いながらめぐりました。(イルカショーを見たりはしま…)

小腹がすいたのでスマスイ名物「シャークナゲット」を二人でほおばりながら、 私のSNS投稿の改善についてお話をいただき恐縮しながらも、60周年を迎えたスマスイのリニューアル問題についても話をしました。
以前のリニューアル(須磨"水族館"時代)では、駐車場敷地を移転先として建て替えがあったので、もしあるとするならそこを利用するとなるだろうとの推測をし、新館ができるなら今と同じ自然光を生かした展示で、サメについては専用の水槽ができればよいなと意見を述べ合いました。

日も陰り、再び「波の大水槽」へ。
夕暮れより始まる「アクアイルミナージュ」という夜間イベントのためライトアップされ、 ムード満点。こたつがかなり浮いています。


S氏は、プロジェクションでホール上方に映し出される映像にサメが出ますというので、二人で鑑賞。
海の命が織りなす映像美に、しばし見とれました。

サメ仲間と見るイベントは、実に楽しいものです。ふらりと来たところで、偶然の遭遇。
今年最後のサメ活は、有意義なものとなりました。日頃の行いや...うむ。

帰路で、ご一緒したことでHaieが自由に回れなかったのでは、と気遣われましたが、心配無用。サメを楽しむのが第一ですから、時間を共有できてこれ以上のことはないです。素敵なサプライズでしたよ。

二人のシルエット。左がHaie、右がS氏。
来年もサメ活を出来るだろうか、サメ仲間と時間が過ごすことができるだろうか。
思うようにいかない時もありますが、機を見て動くを忘れずに、来年も皆サメと過ごせると信じています。
SNSは落ち着きましたら、またやっていきます。気長にオナガにお待ちあれ。

本年のサメ活。

春のぷらっとスマスイ(ぷっスマ)
海遊館定期巡回(4回 顔博にてメガマウス初展示!)

秋の遠征、山陰サメめぐり第一弾(しまねアクアス・青谷上寺地遺跡)

関西サメ男の会 F氏神戸凱旋記念会(スマスイ・グランシャークにて)
名古屋港水族館(コロザメ観賞・サメバーガー賞味)

大阪弥生文化博物館(海に生きた人々展
冬のぷらっとスマスイ
関東遠征なし。
HP種名リストのみ更新。

近畿圏の定期巡回ができていませんなぁ。レポート類・SNSも放置中です。(やる気スイッチどこにある?)
あと、来年は病気しませんように(すでに慢性の脂肪肝疑いあり…)

私的メモ: 海の酸化と炭酸カルシウムとサメの歯の関係
     カズハゴンドウの口の白フチとメガマウスの白フチ。
     神話のサメと海民と日本人のルーツ。
     関東遠征・京急油壺マリンパーク
     長期遠征候補 東北・南西諸島
     サメ会 和歌山方面・しまねアクアス・泉南サメグルメ











2017年5月17日水曜日

2017年 新種のサメ Bythaelurus vivaldii

2017年命名の新種のサメが見つかる!(ただし120年以上前の標本から)

1899年にインド洋を調査したドイツの「Valdivia深海探検隊」が取得した深海ザメ標本が、ハンブルク大学の研究者によって新種と判明したそうです。


トラザメ科の一属、Bythaelurus属(新称:ミナミナガサキトラザメ属)は、主にインド洋に生息する種類で、アジアでは南シナ海で1種、アフリカ東部の西インド洋などにも生息しているようです。(ニュージーランド産の、和名のミナミナガサキトラザメ [Bythaelurus dawsoni] も同属)

ちなみに昨年発見の近い新種、「Bythaelurus bachi」も同じ研究者の方です。
当時の調査蒐集が膨大で標本が長らく混同されていたようですが、近縁種とは頭部の形状や背びれの特徴、口腔内の形状など、多数の違いが認められたそうです。
120年以上前のものにもかかわらず、劣化が少ない標本の保存状態がよかったのでしょうね。
 標本は大事です。

ちなみにヴィヴァルディ (vivaldi) とかバッハ(bach)とか、種小名にドイツの音楽家の名前が冠されているのは多分命名者の趣味だと思う…。

本家サイトのリストを更新しました。
http://www.geocities.jp/haie1976/list.html


写真や模式図は以下で見られます。
http://todropscience.tumblr.com/

本家サイト(公開終了)